ラース・フォン・トリアー推しなので「キングダム」コンプリートBOXを買ってみた。というか発売決定時に予約していたものが届いたという感じ。当初3万円くらいだったと思うんだけど、気づいたら値下げされていてその値段でカード決済されたのでラッキー。

トリアーといえばニンフォマニアック、イディオッツ、ドッグヴィル、奇跡の海あたりがめちゃくちゃ好きで、グロ耐性がないのでハウスジャックビルドは見ていない(というか途中で断念)。

ニンフォマニアックはニンフォマニアの女性の生涯を上下巻に渡って描いた傑作で、特に多くの女性を従えたマスターの描写がいい感じだった。主人公のシャルロット・・ゲンズブールも最高。

イディオッツは日本人こそ見たほうがいい。まじで。ドッグヴィルはニコール・キッドマンがあまりに美しいのと特殊な舞台装置にグッと来る。ラストも秀逸。奇跡の海はもう何というか、幸せと祝福を前に人はどうであっても生きている実感があるしそれを得たいのだな、と思わせる傑作。

さて。キングダムはDVDが絶版になっていてかろうじてオークションなどで出回っていた当時発売のボックスに高値がついていた。ほしいなー買おうかなーと思っていたところ、去年か一昨年だったかに最終章のドラマが発表されて、それ含むコンプリートBOXが発売された。最終章は日本では全5話を繋げて上映されたとのこと。

本作は、デンマークにある巨大病院と、やばさしかないスタッフたちの奇妙な日常もの。デンマークでは地上波で放送されていて50パーセント超の視聴率があったそうで、まじか。

トリアーなのでセンチメンタルな雰囲気を期待していたところ、本作はギャグ要素が強くて、どちらかというとセンシティブな話題を笑いに昇華しながら扱っている。4話くらいまでは話がのろりくらりと進んでいくので結構見るのがだるかったけど、5話以降になるとトリアー節が炸裂で、もう一度最初から見返したほうがいいのかなと思うほどおもしろくなる。

医療過誤を隠したいばかりの医者はハノイに飛んで呪術師からゲットした毒薬で真実を知る同僚を殺そうとするし、一部の医者たちは毎夜毎夜救急車でレースさせてタイム予測のトトカルチョに興じている。女医は顔だけがおっさんの奇形児を産んで、その子は日に日に巨大化していく。医学生は解剖の検体を好き勝手に扱って首を飛ばしたりも。長期入院している高齢女性は院内にはびこる幽霊の姿が見えていて、彼ら相手に講演することも。そういえば前半で少女の幽霊が出てきたと思ったら、ホルマリン漬けにされてるのが見つかったりと、もうめちゃくちゃ。医師のクロウスホイが地下室に隠し部屋を作ってるエピソードも良かった。

そんなヤバさしかないキングダム病院の様子がどんどんさらにおかしくなっていって、という話。

今、7話を見始めたあたりで用事しながらチラチラ見てるので前述した内容が間違ってたらごめん。これがお茶の間に流れていたデンマーク強すぎるな。

毎話のエンディングには若かりし日のトリアーが登場して格言ぽいことを笑顔で伝えるんだけど、これも見る価値があると思う。なんかふふっとしてしまうしなんかかわいい。

ちなみに、放送当時から現在までに主要キャスト5人が亡くなってしまっていたらしく。調べたらヘルマーも亡くなっているのか……なんか寂しい。

とりあえずキングダム病院がどうなるのか見届けたいと思う。