映画「正欲」を見た。
朝井リョウ原作。
簡単に説明すると、水の動きに性的興奮を得る人たちの話。普通の人たちには理解できない性嗜好なので生きづらさを感じながら日々過ごしているものの、主人公は高校時代に奇跡的に同じ性嗜好を持つ異性の友人と出会っていて彼と結婚する。
さて映画版なんだけど、主人公は新垣結衣、夫となる人は磯村勇斗。普通の人でマイノリティに理解がない立ち位置の警察官として稲垣吾郎。あと大学生でやっぱり水に興奮する人に佐藤寛太がキャスティング。
監督の作品は「前科者」「二重生活」は見たと思う。淡々としたオシャレで静かな画を撮るという印象だった。
本作を見た感想としては、映像にすると分かりづらいな…というもの。悪くないし脚本も良かったとは思う。でも、異端な性嗜好を持つ人の感覚が非常に分かりづらく、マジョリティはちんぷんかんぷんだったのでは。まあ物語だからそういうのもあるよねーって思われたらダメな映画のはずだけと、結構な数の人はそう思ってそう。
リアルに普通じゃ考えられないものに興奮する人は結構いて、それはパフォーマンスでもわがままでも妙なこだわりでもない。それに反応するからしょうがない、といった感じ。
マジョリティにちょっと被ってる性嗜好だとたぶん理解されやすいと思うんだけど。例えば、悲惨なシチュエーションでするのが好き/そういうのじゃないと全然ダメ、とか。SMとか。排泄物とか。クラッシュとか。まああげたらキリないけど、これらはまあ何となくマジョリティにも理解される範疇に入ってるとは思う。でも変態だとか言われちゃうカテゴリになるけど。
変態。「1.もとの姿から変わった形態。転じて、異常な状態」だそうで(Oxford Languagesより)。
普通じゃなければ全部異常なのか。一昔前はそもそも騎乗位自体が変態だったんだって。女子から攻めることすら異様だったんだと。
15年くらい前に自分よりちょっと若い世代の男の子と話していたら、普段はおとなしめの彼女が「そういう雰囲気のときだけはめっちゃ積極的になるから変態なんですよー」って嬉しそうに話されたことがあった。「え、それの何が変態なの」と聞いても「変態ですよマジ!」としか返ってこず、彼の真意はいまだ謎のまま。
それを聞いて、彼からしたら縛って打って転がしてとか、かけたり溺れさせたりつないだり、とかそういうのはもう変態どころの話ではないんだなと感じた(もちろん同意の上での話です)。
人は自分が生きてきた道で見たり発生したりしたことしか通常として受け入れられない。でも大人になるにつれて若い時代は変態だと思ったこともそうじゃないよね、って思えるようになるけど、さすがに水に興奮するとか死ぬまで遭遇しないようなマイノリティの話だと、いやいやありえんでしょ、となるのが多分普通。
でも、いやいやありえんでしょ、とならないまでも理解しづらい性嗜好なり性指向なりはあるわけで、作品はちょっと極端に表現してみたけど、結局は個人の理解度の違いを鑑みたらああいう表現で正解だったと思う。SMですら異端でファンタジーだと思っている人はいるので。存在すら知らない箱入り娘のままおばあちゃんになった人も多いでしょうよ。
でも知らないから理解しなくていい、ではない。とくにこの令和においては。知らないなら知るべきであり、分からなくともそういう人の存在を認めないといけなくなってきた。これはとてもいい傾向だよね。
それを踏まえて、映画で「ちょっとこれは…」と思った部分があった。水に性的に興奮するのに、公衆の面前で水浴びしたりすることに抵抗とか恥じらいってないのかなと。原作でもあったシーンだけど。
水が大好きで尊さ感じる程度なら分かる。でも性的興奮を感じるのに公衆の面前で水浴びするって、それ公開オナニーだよね? 水に性的興奮を感じるならば、恥ずかしくてあんなことできないよなあと。他人はどうせ理解できなんだから、と水浴びしてたのか、それとも見られることもまたエクスタシー?
私がマイノリティにおいての描写で理解できなかったのは、この部分。将来的にもし理解が深まったとしたら、水に興奮する人が人目のある場所で水浴びするのはセクハラになると思うんだけど。だって普通(プレイでもない限り)人前でオナニーしないでしょう。意地悪な見方をすると、水に興奮するなんてどうせ理解できないんだからお前らに気付かれない公開オナニーしちゃいますよニチャアみたいな。知らずしらずのうちに変態氏の性的興奮に加担させられているってことにならない? 嫌すぎるなそれ…。
画としては水浴びするシーンはどれも美しかった。でも性的興奮は美しいものじゃない。ドロドロとした欲望の最もたる部分。愛と性を無理やり混同したい人に見られがちだけどね、この認識というか思い込み。
誰にも見られない夜とかに誰もいない公園で水浴びしながら自分の性嗜好に葛藤して涙するも、体は意に反して反応するとかそういうリアリティーあるシーンが見たかったなと思った。
朝井リョウ原作。
簡単に説明すると、水の動きに性的興奮を得る人たちの話。普通の人たちには理解できない性嗜好なので生きづらさを感じながら日々過ごしているものの、主人公は高校時代に奇跡的に同じ性嗜好を持つ異性の友人と出会っていて彼と結婚する。
さて映画版なんだけど、主人公は新垣結衣、夫となる人は磯村勇斗。普通の人でマイノリティに理解がない立ち位置の警察官として稲垣吾郎。あと大学生でやっぱり水に興奮する人に佐藤寛太がキャスティング。
監督の作品は「前科者」「二重生活」は見たと思う。淡々としたオシャレで静かな画を撮るという印象だった。
本作を見た感想としては、映像にすると分かりづらいな…というもの。悪くないし脚本も良かったとは思う。でも、異端な性嗜好を持つ人の感覚が非常に分かりづらく、マジョリティはちんぷんかんぷんだったのでは。まあ物語だからそういうのもあるよねーって思われたらダメな映画のはずだけと、結構な数の人はそう思ってそう。
リアルに普通じゃ考えられないものに興奮する人は結構いて、それはパフォーマンスでもわがままでも妙なこだわりでもない。それに反応するからしょうがない、といった感じ。
マジョリティにちょっと被ってる性嗜好だとたぶん理解されやすいと思うんだけど。例えば、悲惨なシチュエーションでするのが好き/そういうのじゃないと全然ダメ、とか。SMとか。排泄物とか。クラッシュとか。まああげたらキリないけど、これらはまあ何となくマジョリティにも理解される範疇に入ってるとは思う。でも変態だとか言われちゃうカテゴリになるけど。
変態。「1.もとの姿から変わった形態。転じて、異常な状態」だそうで(Oxford Languagesより)。
普通じゃなければ全部異常なのか。一昔前はそもそも騎乗位自体が変態だったんだって。女子から攻めることすら異様だったんだと。
15年くらい前に自分よりちょっと若い世代の男の子と話していたら、普段はおとなしめの彼女が「そういう雰囲気のときだけはめっちゃ積極的になるから変態なんですよー」って嬉しそうに話されたことがあった。「え、それの何が変態なの」と聞いても「変態ですよマジ!」としか返ってこず、彼の真意はいまだ謎のまま。
それを聞いて、彼からしたら縛って打って転がしてとか、かけたり溺れさせたりつないだり、とかそういうのはもう変態どころの話ではないんだなと感じた(もちろん同意の上での話です)。
人は自分が生きてきた道で見たり発生したりしたことしか通常として受け入れられない。でも大人になるにつれて若い時代は変態だと思ったこともそうじゃないよね、って思えるようになるけど、さすがに水に興奮するとか死ぬまで遭遇しないようなマイノリティの話だと、いやいやありえんでしょ、となるのが多分普通。
でも、いやいやありえんでしょ、とならないまでも理解しづらい性嗜好なり性指向なりはあるわけで、作品はちょっと極端に表現してみたけど、結局は個人の理解度の違いを鑑みたらああいう表現で正解だったと思う。SMですら異端でファンタジーだと思っている人はいるので。存在すら知らない箱入り娘のままおばあちゃんになった人も多いでしょうよ。
でも知らないから理解しなくていい、ではない。とくにこの令和においては。知らないなら知るべきであり、分からなくともそういう人の存在を認めないといけなくなってきた。これはとてもいい傾向だよね。
それを踏まえて、映画で「ちょっとこれは…」と思った部分があった。水に性的に興奮するのに、公衆の面前で水浴びしたりすることに抵抗とか恥じらいってないのかなと。原作でもあったシーンだけど。
水が大好きで尊さ感じる程度なら分かる。でも性的興奮を感じるのに公衆の面前で水浴びするって、それ公開オナニーだよね? 水に性的興奮を感じるならば、恥ずかしくてあんなことできないよなあと。他人はどうせ理解できなんだから、と水浴びしてたのか、それとも見られることもまたエクスタシー?
私がマイノリティにおいての描写で理解できなかったのは、この部分。将来的にもし理解が深まったとしたら、水に興奮する人が人目のある場所で水浴びするのはセクハラになると思うんだけど。だって普通(プレイでもない限り)人前でオナニーしないでしょう。意地悪な見方をすると、水に興奮するなんてどうせ理解できないんだからお前らに気付かれない公開オナニーしちゃいますよニチャアみたいな。知らずしらずのうちに変態氏の性的興奮に加担させられているってことにならない? 嫌すぎるなそれ…。
画としては水浴びするシーンはどれも美しかった。でも性的興奮は美しいものじゃない。ドロドロとした欲望の最もたる部分。愛と性を無理やり混同したい人に見られがちだけどね、この認識というか思い込み。
誰にも見られない夜とかに誰もいない公園で水浴びしながら自分の性嗜好に葛藤して涙するも、体は意に反して反応するとかそういうリアリティーあるシーンが見たかったなと思った。