映画「さがす」を見た。
なんか、映画系SNSでめちゃくちゃ映画の趣味が一致する人を発見したんですよ。どこの誰か全然知らないんだけど、私か? ってくらい見てる映画が似ている上に評価も似てる。100%じゃないけど、いつかどこかで遭遇できたら映画語りしたいと思うレベル。
さて、その人が高評価をつけていたので「さがす」を見てみたよ。
というかすっかり見た気になっていたのに冒頭で見るのやめていた映画だった。なんか佐藤二朗が苦手で。だって出てくると途端にギャグテイストになっちゃうから。でもこの映画では素晴らしかった。突然飛び出しそうなおなじみのギャグなど皆無で、全編に渡ってシリアスな演技を披露していた。ツツーっと流す涙の演技は鳥肌もの。被害者で加害者という難役を熱演していた。
物語は一応サスペンス。最初に謎が投げられて、過去回想とともに真実が明るみになっていく構成。
主人公の中学生・楓は、父が連続殺人鬼を見かけたと話した後に失踪したことから、自分に好意を寄せている男子と一緒に探すことに。わずかな手がかりから父の軌跡をたどっていくと、どうしてかその連続殺人鬼と遭遇してしまって……。
連続殺人鬼の山内を演じているのは清水尋也。冷酷な視線やサイコパスっぽい雰囲気が抜群にうまい。そして山内のモデルは死刑囚となった植松聖、白石隆浩、前上博、無期懲役となった市橋達也。介護士の性的サディストで白いソックスフェチの青年が連続殺人を繰り返し、果ては逃亡するというキャラとなってる。
こっからネタバレになるので未視聴の人はスルーしてね。
楓の父は介護疲れからALSだった妻を同僚だった山内に依頼して死にいたらしめており、その後ろめたさから山内に誘われるがまま金ほしさもあり、ネットで自殺志願者を集めることに。しかし山内からは人助けだと聞いていたが、うっすらそうでないことに気付きはじめる。山内が逮捕直前で逃亡したことで指名手配となった後は、自己保身のために山内をかくまうフリをして罪を全てなすりつけることに成功。警察から懸賞金300万をゲットするも、全てが終わった後も元々自殺志願者を募っていたSNSアカウントを継続して使っておびき寄せようとして、それに気付いた楓が囮となって父の行動を確認。警察に引き渡すことに……という流れだった。最後は警察が自宅を訪れる直前まで2人で卓球のラリーをしていて、楓が父に真実を明かす。ここでの緊張感と悲哀がまとわりつくような演技が最高だった。
最初はこの直前、全てが終わってめでたしめでたし、なわけねーだろってところで終わるかと思ったんだけど、ちゃんと落としてくれてホッとしたよね。
これ、父がかわいそうだと取る人ってどんだけいるんだろ。最初から割とヤバイ奴だよね? 妻、意思表示困難で死にたくなかったぽいことが描かれてるのが象徴的。しかもかなり計画的に山内に罪を着せてるし、最後は山内が捕まってもハングマンを続けようとする。心中したいわけじゃないと思う。あのスリルが忘れられなかったんだよね。
そうそう、あと楓が吊り上げられた母を発見するんだけど、殺害現場では吊り上げられてないんだよね。卓球台に引っ掛けてるだけ。だから山内の殺害後に父が吊り上げたんだと思う。このシーンって、父の性的サディストの一面が目覚めたっていう描写だよね。
こういうザックリ刺してくるストーリーは本当に最高だと思う。ここで父をいい人みたいにして終わらせないのは本当に救い。かわいそうな人は被害者ではない。気の毒でかわいそうな人でも、そもそもの本質と環境によって悪人になりえる。そういう話。あとは山内によって“感染”させられたのかな。感化されちゃったのかな。性的サディストの扉が開いちゃったのかな。
人の仄暗い闇を描いた秀作でした。ちょっとだけ絶望したい人は見ると良いよ。ムクドリ役の森田望智ちゃんの絶望してる死んだ目も素晴らしかった。もちろん子役出身の伊東蒼ちゃんも素晴らしかった。あの俳優陣の中で食われてないのはとんでもない素質。監督の次回作が楽しみ。
なんか、映画系SNSでめちゃくちゃ映画の趣味が一致する人を発見したんですよ。どこの誰か全然知らないんだけど、私か? ってくらい見てる映画が似ている上に評価も似てる。100%じゃないけど、いつかどこかで遭遇できたら映画語りしたいと思うレベル。
さて、その人が高評価をつけていたので「さがす」を見てみたよ。
というかすっかり見た気になっていたのに冒頭で見るのやめていた映画だった。なんか佐藤二朗が苦手で。だって出てくると途端にギャグテイストになっちゃうから。でもこの映画では素晴らしかった。突然飛び出しそうなおなじみのギャグなど皆無で、全編に渡ってシリアスな演技を披露していた。ツツーっと流す涙の演技は鳥肌もの。被害者で加害者という難役を熱演していた。
物語は一応サスペンス。最初に謎が投げられて、過去回想とともに真実が明るみになっていく構成。
主人公の中学生・楓は、父が連続殺人鬼を見かけたと話した後に失踪したことから、自分に好意を寄せている男子と一緒に探すことに。わずかな手がかりから父の軌跡をたどっていくと、どうしてかその連続殺人鬼と遭遇してしまって……。
連続殺人鬼の山内を演じているのは清水尋也。冷酷な視線やサイコパスっぽい雰囲気が抜群にうまい。そして山内のモデルは死刑囚となった植松聖、白石隆浩、前上博、無期懲役となった市橋達也。介護士の性的サディストで白いソックスフェチの青年が連続殺人を繰り返し、果ては逃亡するというキャラとなってる。
こっからネタバレになるので未視聴の人はスルーしてね。
楓の父は介護疲れからALSだった妻を同僚だった山内に依頼して死にいたらしめており、その後ろめたさから山内に誘われるがまま金ほしさもあり、ネットで自殺志願者を集めることに。しかし山内からは人助けだと聞いていたが、うっすらそうでないことに気付きはじめる。山内が逮捕直前で逃亡したことで指名手配となった後は、自己保身のために山内をかくまうフリをして罪を全てなすりつけることに成功。警察から懸賞金300万をゲットするも、全てが終わった後も元々自殺志願者を募っていたSNSアカウントを継続して使っておびき寄せようとして、それに気付いた楓が囮となって父の行動を確認。警察に引き渡すことに……という流れだった。最後は警察が自宅を訪れる直前まで2人で卓球のラリーをしていて、楓が父に真実を明かす。ここでの緊張感と悲哀がまとわりつくような演技が最高だった。
最初はこの直前、全てが終わってめでたしめでたし、なわけねーだろってところで終わるかと思ったんだけど、ちゃんと落としてくれてホッとしたよね。
これ、父がかわいそうだと取る人ってどんだけいるんだろ。最初から割とヤバイ奴だよね? 妻、意思表示困難で死にたくなかったぽいことが描かれてるのが象徴的。しかもかなり計画的に山内に罪を着せてるし、最後は山内が捕まってもハングマンを続けようとする。心中したいわけじゃないと思う。あのスリルが忘れられなかったんだよね。
そうそう、あと楓が吊り上げられた母を発見するんだけど、殺害現場では吊り上げられてないんだよね。卓球台に引っ掛けてるだけ。だから山内の殺害後に父が吊り上げたんだと思う。このシーンって、父の性的サディストの一面が目覚めたっていう描写だよね。
こういうザックリ刺してくるストーリーは本当に最高だと思う。ここで父をいい人みたいにして終わらせないのは本当に救い。かわいそうな人は被害者ではない。気の毒でかわいそうな人でも、そもそもの本質と環境によって悪人になりえる。そういう話。あとは山内によって“感染”させられたのかな。感化されちゃったのかな。性的サディストの扉が開いちゃったのかな。
人の仄暗い闇を描いた秀作でした。ちょっとだけ絶望したい人は見ると良いよ。ムクドリ役の森田望智ちゃんの絶望してる死んだ目も素晴らしかった。もちろん子役出身の伊東蒼ちゃんも素晴らしかった。あの俳優陣の中で食われてないのはとんでもない素質。監督の次回作が楽しみ。