映画「エゴイスト」を見た。



とても良かった。ストーリーの概要しかチェックしてなかったので、後半全然知らず。まさかの展開にびっくりしたのと、鈴木亮平の天才的な演技に感動しっぱなしだった。

泣く演技。突然の思いもよらないことを聞かされたときの、信じたくないという拒否と動揺と困惑と絶望と悲哀とショックがないまぜになった表情を通話してる状態で一瞬にして醸し出すこと。すばらしい俳優になったなあと思う。昔から名優だったけど、同世代では頭ひとつ抜けてるのでは。演技力が。シティーハンターもすごかった。

エゴイストはたしか原作者の自叙伝だよね。エゴイストとは自分のこと。てっきり、自己中な自分を諌めるかのようなタイトルなのかと思いきや想像と少し違った。愛がどういうものかわからず、自分がそうしたいからする、そんな自分はエゴイストであると。でもそのエゴは実は愛だった。そういうオチ。どこまでも優しい物語だった。すばらしい。

原作のレビューを少しみたら、実は映画では描かれなかったことも。主人公が一介の編集者にしてはめちゃくちゃいい生活してるなと思ってたんだけど、実際にはかなりお金に関して無理していたと。映画で住んでる部屋は都内だし50万は容易に超えると思うので、年収1200万くらいならハイブラ買って月々お手当あげてってやったら足りない。八百屋のシーンで安いナシを一瞬選ぼうとしていたのはその設定が少し顔を覗かせたのかな。

主人公の、龍太とその母への愛が無償で包み込むような柔らかくあたたかいもの。でもあまりに優しすぎて痛々しさすらあった。そこまでしなくても…って。でもそれこそが彼のエゴであり、そうしたかったのは亡き母に与えられなかった分、大切な人たちに全力で愛を伝えたかったからなんだね。