やまだないと『ハルヒマヒネマ』を読んだ。


やまだないとは私の中で5本の指に入るくらい好きな漫画家。なので、彼女が書いた300本の映画レビューてのはご褒美以外の何ものでもない。いやーありがたい。

10代から信奉してる漫画家のレビューなんていう垂涎ものの本を大事に大事にここ数日ずっと読んでいたわけなんだけど、やっぱりさすが趣味が被ってるし見てる映画も被ってる。ただ、好きの傾向はちょっと違って、またそれもまた良い。気になったのは全部Filmarksに入れといた。

しかもかなり辛口なところがとても良い。最近、SNSのレビューは特に良いことしか書かれてなくてあまり参考にならないのだよね。作者とか映画監督がエゴサしまくって飛んでくるから。あれ、まじで悪しき文化だよ。衰退するよ。よい作品が生まれづらい原因だよ。受け手からしたら監視されてるみたいで居心地が悪い。たとえ感謝の言葉だったとしてもさ、その人の次の作品があんまり良くなかったらレビュー書きづらくなっちゃうよね。「わー作者さんだ! うれしー!」ってなるタイプの人間ではなくてほんとごめん。気持ちは胸にしまっておいてもらうとうれしい。そんなら鍵かけろって話か。あーそうだよね、そうするのも本人の自由か。難しい。嫌だって気持ちだけ表明しておく。嫌だけど、ご自由にどうぞ。

さて、本書ではもう率直に良し悪しを書いてくれているので、本当に選びやすい。私が大好きな映画にも辛口だったけど、それはそれでやまだないとの視点が書かれていて好き…ってなる。インプリンティングみたいなものかもしれないけど。彼女の作品が好きすぎるので。

最後にやまだないとのオススメ3作が登場する。その中で気になったのは「謎めいた肌」。これはたぶんかなり好きなタイプの映画なので、とりあえずDVDは借りてくるとして原作は早速注文した。ああ楽しみ。

やまだないとの作品で特に好きなのは『エロマラ』『コーデュロイ』『ビューティフルワールド』かな。『イはイチゴのイ』も狂ってて最高。年取ったら『フレンチドレッシング』もめちゃくちゃ好きになった。エロい女の子とか逃亡とか不機嫌でセクシーな中年男性とか、終わりそうな/終わりゆく世界とか。そういうのが詰まってる。好きだ。絵もめちゃくちゃオシャレだし。いつだったか下北沢の個展に行ってポストカードを買った覚えがある。大事にしまっているけど、どこ言ったっけ。イケメンが服着てるのと裸のやつ、同じアングルの2枚。

ほんとなんでかわかんないけど、人生に疲れたらやまだないとの漫画を読むと元気が出るんだよね。こないだはエロマラ読んですごい元気になった。謎。ビューティフルワールドはハッピーな内容だしとても優しいから分かるんだけど、破滅的な内容だったとしてもほっとする。まあ栄養なのでしょう。私の脳の何割かはやまだないとの物語でできてるから。